遺伝性乳がん

遺伝性乳がん

乳がんと遺伝のつながり

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乳がんの大部分(90〜95%)は、生活習慣や環境因子など複数の要因が絡み合って発症しますが、全体の5〜10%は遺伝的な要因が関与しているとされています。

この「遺伝性乳がん」において、代表的な遺伝子として知られるのがBRCA1とBRCA2です。

これらの遺伝子は誰もが持っているものですが、特定の病的変異が乳がんや卵巣がんの発症リスクを高めます。

また、現在も未知の遺伝子が存在すると考えられており、研究が進められています。

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)

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遺伝性乳がんの中で最も多いのが「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」です。

この症候群では、BRCA1またはBRCA2遺伝子に病的変異が見られる場合があります。

BRCA遺伝子に病的変異がある女性は、変異のない女性と比較して乳がん発症リスクが約6倍に増加するとされ、30〜40代前半という若い世代での発症も多く見られます。

また、両側乳がんが発生するリスクも高いとされています。

ただし、BRCA遺伝子に病的変異があるからといって、必ず乳がんや卵巣がんを発症するわけではありません。

一生がんを発症しないケースもあります。

BRCA遺伝子検査について

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2020年4月以降、特定の条件を満たす乳がん患者に対してBRCA遺伝子検査が健康保険適用となりました。

この検査は、採血した血液からDNAを抽出し、病的変異の有無を判定するものです。

【費用】

健康保険適用時:3割負担で約6万円

健康保険適用外(乳がん未発症の場合):数十万円

BRCA遺伝学的検査の保険診療と自費診療について

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乳がん既発症の患者様で、以下のいずれかの条件に該当する場合、保険適用でBRCA遺伝子検査を受けることが可能です。

BRCA遺伝子に病的変異が
確認された場合

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遺伝子検査で病的変異が見つかった場合、以下のような選択肢があります。

乳がんを発症している乳房の治療乳房温存手術を希望しない場合、乳房切除術が推奨されます。
未発症の乳房に対する予防措置リスクを低減するために、予防的な乳房切除(対側リスク低減乳房切除術)を選ぶことが可能です。
手術を選択しない場合でも、乳房MRI検査など定期的な検診が推奨されます。
卵巣がん・卵管がんの予防妊娠・出産の希望がない場合、リスク低減卵巣卵管摘出術が勧められることがあります。
これに加え、定期的な精密検査を受けることも必要です。

遺伝子検査のメリット
・デメリット

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メリット

デメリット

検査を受けるかどうかは患者様自身の自由な選択ですが、遺伝カウンセリングを受け、専門家のアドバイスをもとに納得のいく決断をすることが大切です。

当院のサポート

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当院では、遺伝性乳がんやBRCA遺伝子検査に関するご相談を承っています。

希望者にはBRCA遺伝子検査を受けてもらうことが可能です。

すでにHBOCの診断がされている方、未発症者の乳がん検診を行っております。

必要に応じて熊本大学遺伝診療部へご紹介させて頂き遺伝カウンセリングを受けて頂きます。

不安や疑問がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

当院のサポート