乳腺外来とは

乳腺外来は、女性特有の乳房に関するお悩みに幅広く対応する診療科です。主には乳がんの診断と治療を行います。
乳房に関する症状や不安だけでなく、乳腺炎をはじめとするさまざまな疾患にも対応しています。
また、乳がん検診や精密検査、診断後の治療、術後のフォローアップ、セカンドオピニオンの相談まで幅広く対応可能です。
さらに、当院では一般内科診療も行っておりますので、些細なお悩みでもお気軽にご来院ください。
乳房に関する病気を専門的に診療するクリニックとして、患者様一人ひとりに寄り添った診療をお約束します。
こんなお悩み
・症状ありませんか

主な対象疾患

乳がん
乳がんは、日本人女性が最も多く罹患するがんの一つで、9人に1人が乳がんと診断されると言われています。
年間で約9万人以上が新たに乳がんと診断され、そのうち約1万4千人が命を落としているのが現状です。
しかし、乳がんは早期に発見し、適切な治療を受けることで大幅に改善が期待できる病気です。
たとえば、Ⅰ期で診断された場合の10年生存率は約99%と非常に高く、治療によって完治が望めるケースは稀ではありません。
そのため、セルフチェックや定期的な乳がん検診が重要な役割を果たします。

線維腺腫・葉状腫瘍
乳腺線維腺腫
15~35歳の女性に多く見られる乳腺の良性腫瘍です。
触るとよく動くしこりとして感じられることが多い一方、小さいものは健康診断で初めて発見される場合もあります。
超音波検査では、境界がはっきりした横長の形として映るのが特徴です。
古い線維腺腫では石灰化が起こることがあり、マンモグラフィで確認されることもあります。
多くの場合、2~3cm程度で増殖が止まり、自然に消失するケースもあります。
ただし、しこりが急激に大きくなる場合は手術が必要になることがあります。
葉状腫瘍
35~55歳の女性に発症する稀な腫瘍です。「良性」「境界悪性(良性と悪性の中間)」「悪性」の3つのタイプがあり、多くは良性です。
良性の場合でも、急速に大きくなることがあるため、手術が必要なケースもあります。
乳腺症
乳腺症は女性ホルモンのバランスの乱れによって引き起こされる乳腺のさまざまな変化の総称です。
30~50代の女性に多く、しこり、乳房の張りや痛み、乳頭分泌物などの症状が現れることがあります。
マンモグラフィや超音波検査で乳がんと区別がつきにくい場合があり、組織診が必要になることがあります。
閉経後には症状が自然と緩和されることが多いです。
乳腺嚢胞
乳腺嚢胞は乳管内に水が溜まった袋状の構造で、乳腺症の一種とされています。
良性のもので治療の必要はありませんが、大きくなるとしこりとして触れることもあります。
まれに嚢胞内に腫瘍が発生することがあり、その場合は組織診を行って良性か悪性かを判断します。
乳管内乳頭腫
乳管内乳頭腫は、母乳の通り道である乳管にできる良性腫瘍で、30~50代の女性に多く見られます。
主な症状はしこりや血性の乳頭分泌です。
乳頭近くにできる「中枢性乳管内乳頭腫」は単発であることが多く、乳頭から離れた場所にできる「末梢性乳管内乳頭腫」は多発する場合があります。
症状が進行した場合や増大傾向がある場合は、手術で摘出することもあります。
乳腺炎・乳腺膿瘍
乳腺炎には、授乳中に乳汁が滞ることで発生する「うっ滞性乳腺炎」と、細菌が乳腺に侵入して感染を起こす「化膿性乳腺炎」があります。
化膿性乳腺炎はうっ滞性乳腺炎から進行する場合もありますが、授乳とは無関係に起こることもあります。
抗生剤の服用や点滴で治療しますが、乳腺内に膿が溜まる「乳腺膿瘍」へ進行すると、切開による排膿処置が必要になる場合もあります。
乳がんの治療について


乳がんと診断された場合、初期治療として主に手術、放射線治療、薬物療法(化学療法、内分泌療法、分子標的治療薬)を行います。
これらの治療法は、がんの性質や進行度、患者様の体調、さらに希望を総合的に考慮した上で組み合わせて行われます。
乳がんと診断された際には、焦らずに病気の性質や広がりを正確に評価し、自分に合った治療法を慎重に選択することが大切です。
初期段階で適切な治療を受けることで、予後の改善が大いに期待できます。
クリニックでは、手術、放射線治療、化学療法は行っておりませんが、適切な医療機関へご紹介して受けてもらうことが可能です。またその間の副作用やアピアランスケアについては随時対応しております。
男性も違和感を感じたら
ご相談ください

男性にもわずかながら乳腺組織が存在しており、まれではありますが男性乳がんが発症することがあります。
当院は女性専用ではありませんので、男性でも胸に違和感や心配がある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。

女性化乳房症
男性によく見られる乳腺疾患として「女性化乳房症」があります。
これは、男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが崩れることで、女性ホルモンの影響が強まり、乳腺組織が発達する疾患です。
乳頭の下にしこりや痛みを感じることが多く、特に「乳頭が服にすれて痛い」と訴える方が多いのが特徴です。
この症状は、ホルモンバランスが不安定になる思春期の10代や、ホルモンの変化が顕著になる70歳以降の男性に多く見られます。
また、肝硬変、慢性腎不全、精巣腫瘍、甲状腺機能異常といった基礎疾患や、利尿剤などの薬の副作用によっても発症することがあります。
多くの場合、経過観察を続けることで自然に改善しますが、乳がんとの区別や原因となる疾患の有無を確認するためには診断や検査が必要です。
男性乳がん
男性乳がんは、女性乳がんの約100分の1の頻度で発症するとされています。
治療法や治療成績は女性乳がんとほぼ同様ですが、男性は乳房が小さいため、乳頭直下に腫瘍が発生しやすい傾向があります。
そのため、診断時に皮膚や乳頭への浸潤が見られるなど、進行した状態で発見されることが多いのが特徴です。
早期に発見することで治療効果が大きく向上します。
乳頭やその周辺に異常を感じた場合は、早めにご相談ください。